気圧痛と体調不良の関係
気圧痛って聞いたことあります?
最近気候によって体調が悪くなることが多い、病気かも?と不安になることがありませんか?
雨や雷、台風といった天気の悪い日に限って、頭が痛くなる、頭が重く感じる、肩が凝るといった体調不良または気分が悪くなる方は多いです。
これらの症状は「天気痛」や「気象病」といった名前で呼ばれています。
冬の寒い日は、どんな人でも肩が痛い!!という経験があると思います。
寒さによって血管が収縮するので肩にかぎった話ではないのですが、慢性的な肩こりを抱えていらっしゃる方は、より辛く感じることでしょう。そして、雨、雪の天気が加わりますと、より一層辛さが増すと思います。
天気が悪い時期といえば梅雨。夏前の梅雨の時期に体調をくずし、長引いてしまう方は少なくないようです。ある調査によりますと、女性の約6割が梅雨の時期に体調の不調を感じ、約3割が梅雨の約2か月の間、常に体調が悪いと感じているとのこと。
通常の雨だけではなく、特に台風が接近すると強い症状を訴える患者さんが多いことに加え、標高が高い所に行くと喘息(ぜんそく)起こる、飛行機に乗ると頭痛がするということを訴える方が決して少なくないということは、気圧が何かしら関与しているということが推測できます。
(一般的には低気圧が関与しているという認識のようです)
気圧は気象庁HPで確認できるので、気になる方は、スマホとかでちらっと確認するのも良いかもです。
その気圧の変化が自律神経に影響を及ぼし、交感神経の働きを活発にし、諸々の体調不良を招くということが示唆されています。
例えば偏頭痛だと、従来ですと低気圧になると血管に対する外部からの圧力が減少し、結果的に血管が拡張し、過剰な血流増加が起こり、頭痛症状に至ると考察されていましたが、最近の研究では、耳の内耳と自律神経、特に交感神経が大きく関与していることがわかってきました。
人体には気圧の変化をキャッチするセンサーが備わっており、気圧が下がると自律神経のバランスが乱れ、体調を変化させる。気圧が低下すると内耳(耳の最深部です)に存在するセンサーがそれをキャッチし、交感神経の興奮が高まり、血流や感覚閾値(感受性)を変化させ、痛みやコリ感などの諸症状を誘発する原因となります。
そもそも、内耳は、聴覚はもちろんのこと、平衡感覚や姿勢を維持するうえで重要な器官です。
そのため低気圧がやってきて体調不良となる時には、内耳のコンディションも低下します。そうすると興奮する神経である交感神経が優位になっていき、その結果、交感神経のそばにある痛みを感じる神経も影響を受けることなるそうです。
この痛みを感じる神経が過敏になることを、痛覚閾値が下がる(痛みを感じやすくなる)といいます。そのため、普段はなのともなくても、腰や膝など以前傷めたりした自身の弱点がシクシク疼くように感じてしまう。。結果、痛みやコリ感などと同時にめまいや耳鳴りが頻発してしまう。ということになるんですって。
本来、交感神経と痛みを感じる神経は関係性はないのですが、古傷や過去の障害を持っている人は、その障害のあたりの痛み神経が交感神経とくっついた状態になっている方が多いのだそう。不思議ですね〜。
つまり、気圧の変化 → 内耳のセンサーがキャッチ → 交感神経の活動が活発化 → 痛覚閾値低下(痛みを感じやすい体へ)と末端の血流不全 → 様々な不定愁訴 → 交感神経が活発化・・・ といった負のサイクルが台風や前線がきっかけでできあがってしまい、局所症状から全身症状・精神症状へと拡散していき抜け出せなくなってしまう方も多いようなのです。心当たりはありませんか?
参照:2015「気圧や気温の変化が痛みに与える影響について」 [online]
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2008/0/2008_0_A3P3054/_article/-char/ja/
参照:2005「気象変化による慢性疼痛悪化のメカニズム(最前線,<特集>痛みとかゆみ)」 [online]
https://www.jstage.jst.go.jp/article/faruawpsj/41/3/41_KJ00009718715/_article/-char/ja
参照:2003「気象変化による慢性痛悪化のメカニズム」 [online]
https://www.jstage.jst.go.jp/article/seikisho/40/4/40_4_219/_article/-char/ja
女性の場合には、さらに追い討ちがホルモンの変化があります。
気圧の変化が自律神経の乱れを引き起こすのは、男性も女性も同じなのですが、女性は男性と違ってホルモンの分泌の問題があります。
男性は思春期以降はホルモンの分泌はほぼ一定なのですが、女性は月経があるため常に変化しています。ホルモンの分泌をコントロールしているのは脳の下垂体(かすいたい)というところなのですが、ここは、自律神経をコントロールしている視床下部(ししょうかぶ)の支配下にあります。
つまり自律神経とホルモンのバランスは密接な関係にあります。ホルモンのバランスが崩れたら自律神経にも影響が出るでしょうし、その逆もあります。そこに気圧の変化という要素が加わることを考えますと、男性よりも女性の方が気圧の影響を受けやすいといえるのでしょう。
気象病・天気痛に効果的とされる方法は、入浴(半身浴)や運動、呼吸法からはじまり漢方まで様々な解消方法が提唱されています。
浴等で汗をかくよりも、運動によって体を能動的に動かすことによる発汗のほうが効果的です。筋肉の収縮と弛緩が交互に起こるため、全身の循環も促されます。
天気が変わりそうな前に、酔い止めの薬を飲むと良いらしいですが、薬に頼らすセルフケアでできる、ちょっと手軽な解消法をご紹介します。
<耳を引っ張ると良い(内耳のストレッチ)>
気象病・天気痛対策としては、耳たぶのマッサージは副交感神経を優位にする目的で行います。さらに「心地よい刺激」を与えることで、その「心地よさ」から副交感神経が優位になることも期待できます。
この耳たぶマッサージによる効果というのは、胸鎖乳突筋、板状筋の筋膜に刺激を与えることで、これらの筋肉が緩むことにより、首こりや肩こりの症状がスッキリするという効果もあります。
耳たぶマッサージ
1、耳たぶを外側に引っ張ります。(2〜3秒引っ張ったら離します。これを3〜5回繰り返します。)
2、次に、耳たぶを回します。(前回し3回、後ろ回し3回繰り返します。)
体調悪くなりそうな予感がした時に「酔い止め」クスリの服用のような感覚で、もっと手軽で体に優しい、この耳たぶマッサージをお試しください。
参考:
慢性頭痛の診療ガイドライン2013 一般社団法人日本頭痛学会
【免責事項】この記事に掲載している情報は、2018年8月時点で収集した内容をもとに作成しております。各情報の詳細については必ず、公式サイトでご確認ください
<ハーブティーでリラックス>
植物療法としては、一番手軽はハーブティーです。
自律神経を優しくケアしてくれるリラックス系ハーブ、ジャーマンカモミール、ペパーミント、リンデン、レモンバーム、オレンジフラワーなど、鎮静成分を含んだハーブたちの力を借りるのも、よい選択ですね。
気持ちを沈め、心地よい時間を過ごしながら、耳たぶマッサージをしてみてはいかがでしょう?
代表的な自立神経をケアしてくれるおすすめのハーブ
ジャーマンカモミール
世界で最も飲まれているハーブと言われるほどリラックスハーブの代表です。やさしい香りです。
ペーパーミント
ペパーミントにはアピゲニンという鎮静成分も含まれるので、欧米ではリラックスハーブとして使われます。ミントの風味でリラックス。
リンデン
お子様でも安心なリラックスハーブとして知られるリンデン。高貴な香りが眠りを、優しい香りが全体のブレンドをまとめてくれています。
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