ハーブの力 (フィトケミカルズ)
ハーブにはお料理に使うハーブや園芸のハーブ、あるいはスパイスと呼ばれる香辛料としてのハーブも数多く存在します。また古くから薬草として主に西洋ハーブとか南米ハーブとかアーユルヴェーダハーブなど各地の伝統医学と密接に関連したハーブがあります。日本にも生薬と呼ばれるハーブがありますし、中国には中医学漢方、(日本の漢方とは違います)など、世界中で植物の力を人間は太古の昔から健康の維持に役立ててきました。
なぜ、そのような力が植物にはあるのでしょう。
御存知の通り、植物は「光合成」をします。その光合成によって、植物は自らの命をつなぐ為の栄養素を作り出します。具体的には、二酸化炭素と水によって、太陽の光を使い栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂質、核酸)をつくり、自らの栄養にするのです。そのために植物は、葉緑素(クロロフィル)という物質を体内に持っているのです。
人間やその他の草食動物は植物を食べます。そうすることによって自分たちでは体内で作ることが出来ない栄養素を補うのです。肉食動物が草食動物を食べるのもこの論理に他なりません。皆さん御存知の「食物連鎖」です。
では、栄養素を作り出すだけが「植物の力」なのでしょうか?
もちろん生物が生きていく為に必要な酸素も植物から生成されます。それ以上に実は、植物のもっとも偉大な力といえるのが、「植物化学成分―フィトケミカルズ」と呼ばれる成分たちです。この成分は、植物自らが紫外線や外敵から身を守るために作り出すさまざまな化学成分です。植物は一度根をはったら、外敵が来ても直射日光の下でも、逃げることは出来ません。
そこで植物は植物化学成分という自らを守る防御機能を生み出したのです。例えば、アルカロイド、フラボノイドやタンニンに代表されるポリフェノール、カロテノイドなどと呼ばれる成分群です。また植物は当然土からも栄養をとります。それが、ビタミンやミネラルとなって動物に受け継がれます。そしてさらに植物自体が持つ苦味質や粘液質なども、人間には有効な成分として明らかになってきました。
また植物の成分の中には精油と呼ばれる芳香成分もあります。よく耳にする「アロマテラピー」は、この植物の持つ芳香成分(精油)のみを人工的に抽出したエッセンシャルオイルを使う植物療法です。一方ハーブティなどはハーブの葉や花あるいは根っこなど、そのものの成分をそのままお湯などでゆっくり抽出するため、さまざまな成分を体に穏やかに取り入れることが出来ます。半面アロマテラピーは精油という有効成分のみを抽出するので、当然成分の純度が高くなります。だから精油を扱う際は細心の注意が必要なのです。直接肌に塗るなんて「もってのほか」なのです。
下の図のように、植物が作り出す「力」は栄養素が自らの生命維持のため、そして自らを守る目的と、私たち動物にとっても生命維持のために必要なさまざまな成分を植物が作り出してくれているのです。その中でも成分の有効性が科学的に証明されているものが、特にメディカルハーブと呼ばれているのです。ハーブの力はとても偉大なのですね。