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タンポポコーヒーの名でおなじみのセイヨウタンポポことダンデライオン
ダンデライオン Dandelion
ダンデライオンは食材として薬草として長い食経験をもち、肝臓の機能を助けるデトックスハーブです
学名:Taraxacum officinale (タラキサクム オフィキナレ)
和名・別名:西洋タンポポ、西洋蒲公英、生薬名:蒲公英、【英】Lion’s tooth, Blow ball, Fairy Clock, Canker Wort, Irish Daisy【仏】Pissenlit 【独】 lowenzahn
科名:キク科
使用部位:葉部・根部
植物分類と歴史
どんなハーブ?
キク科タンポポ属は北半球の温帯から寒帯を中心に約2,000種が分布し、特に種類が多い地域として、アラスカ、スカンジナビア、アイスランド、ヒマラヤ、日本が知られています。ユーラシア大陸全体が原産で様々な種類がある。属名の総称Taraxacumの語源は、ギリシャ語のtaraxos(病気)と akos(治療)を組み合わせとも、あるいはアラビア語のtarakhshaqoq(野生のチコリ、キクニガナ)、ペルシャ語の「苦い草」(tharakchakon)に由来、とも言われており、「officinale」は「薬用の」または「薬効のある」という意味です。
食用、薬用の植物として長い歴史をもち、高さは20~40cmになり、葉や茎を切ると白い乳液が出る。春に鮮やかな黄色い花を咲かせた後、白い綿毛のついた種子をつけます。日本には約20種類のタンポポが自生しており、大きく分けると古来から、日本に生育していた在来種と近世に海外から持ち込まれた外来種があります(現在は帰化種といわれている)。
在来種は外来種に比べ、開花時期が春の短い期間に限られ、種の数も少ないです。また在来種は概ね茎の高さが外来種に比べ低いため、生育場所がより限定されます。夏場でも見られるタンポポは概ね外来種のセイヨウタンポポです。
見分け方としては、一見して萼(ガク)に見えるところ、実際は総苞片(そうほうへん)というが、これがきちんとしぼんでいるのが在来種*(写真左)で、外側に散らかったように反っているのが外来種(写真右)です。
しかし交雑の結果、単純に外見から判断できない個体も存在することが確認されています。
*カントウタンポポ(Taraxacum platycarpum)やカンサイタンポポ(Taraxacum japonicum)であり、漢方薬として用いられているのはモウコタンポポ(Taraxacum mongolicum、中国名:蒲公英)である。これらはいずれも有効成分には大きな違いはないとされているので、本稿では一括してダンデイライオンとして紹介します。
普段、野原で見かけるタンポポはほとんどが、ガクが広がっているセイヨウタンポポです。
個体数が多く目に付きやすいことから、「セイヨウタンポポが日本古来のタンポポを駆逐してしまった」といわれることがあるが、これは正確には誤りで、セイヨウタンポポは在来種よりも生育可能場所が多く、かつ受精しなくても果実を結ぶ無融合性生殖(無性生殖)の植物なので、繁殖力が強く、世界各地に侵入している種が存在します。
日本ではセイヨウタンポポの個体数が多いために相対的に在来種の割合が減っただけで、在来種も一定の個数で存在しています。また茎を大きく伸ばさないため、かえって都市部で在来種が見られる場合もよくあります。またセイヨウタンポポは環境省指定要注意外来生物で、日本の侵略的外来種ワースト100に選定されています。日本固有のタンポポ属20種の脅威となっているのはセイヨウタンポポとアカミタンポポが主流で、いずれもヨーロッパ原産の多年生草本です。1904年に流入が確認され、今や日本に自生するタンポポの8割はセイヨウタンポポと固有タンポポの交雑種といわれ、局地的に分布する固有タンポポの多くが交雑や競合で危機的な状況にあるそう。
欧米では古くからメディカルハーブ(薬用植物)として知られます。
ジャーマンカモミールは花部、ペパーミントは葉部というように、ハーブの使用部位は 1 カ所に決まっていることが多いですが、このダンデライオンの場合は葉部と根部の 2 か所を用いる珍しいケースにあたります。また部位毎で使用目的が異なり、葉部は利尿を、根部は強肝を目的に用います。
名前の由来は?
このダンデライオンという呼び名は、フランス語で「ライオンの歯」を意味するダン・ド・リオン (dent-de-lion) に由来し、葉の形がライオンの歯に似ていることからこの名前がついたといわれています。現代のフランス語ではピサンリ (pissenlit) といいますが、これは(piss-en-lit)で「ベッドの中のおしっこ」という意味です。
ドイツ名では、(lowenzahn)と呼び、 英名、仏名と同様、ライオンの歯を意味しています。日本名のタンポポの由来には、花茎を切り、水につけると両側が反り返ってまきつき、その形が鼓に似ているので、鼓を叩く音を形容した「タン・ポンポン」という擬音からきたという説もあります。実際江戸時代には「たんぽぽ」を「ツヅミグサ」と言っていました。ただタンポポのどの部分が鼓に似ているのかについては諸説あるようで定説は無いようです。また果実が飛び散る前の形が、槍の先や刀などに使う「たんぽ槍」に似ているからタンポ穂であるとか、「湯たんぽ」の「たんぽ」と同源ではないかといった説、などなどいくつかの説があります。
タンポポの地下部のみを、蒲公英根(ほこうえいこん)という名称で民間的に健胃薬として利用されています。中国では、蒲公英(ほこうえい)と呼ばれます。発音はpu-gong-ying、タンポポの全草を薬用にする。そのほか中国名では現在は「婆婆丁」(ポポチンとかババチン)と呼ばれているそうですが、以前はこれが「丁婆婆(チンボボ)」だったそうで、この時に日本に入りチンボボがタンポポになったという説もあるそうです。ほかに亮公英、僕公嬰、鶉鵠英、蒲公丁という、ほぼ同じ発音の漢字を当てています。中国南方・(淮水のあたり)では、タンポポのことを「白鼓釘」というようです。おそらくこの地方の方言を上記の漢字を当てて表わしたものではないかと言われています。前述の和名のタンポポも頭花を鼓に見立てて、その音をあてがった幼児語から来たという説もありますが、白鼓という発想もそれに近いかもしれません。釘は丁と同じで「独脚(どっきゃく、片足」の意味、タンポポの花の立ち姿を見ると、そう見えるようにも思える。結局は、中国でも日本でも以上の漢字はパピプペポとかタチツテトなどの音をよく口にする幼児語からの漢字への転用によるものかも知れないですね。
ダンデライオンの歴史
実はダンデライオンことタンポポは、他の西洋ハーブと異なり、古代ギリシャのヒポクラテス医学大全集にも「植物学の父」とか「神のごとくに話す」とまであだ名されました、テオフラストスの『植物誌』にも、全然出てこない植物なのです。さらに古代ローマでも、当時、百科全書家のプリニウスや「植物誌の父」として、その後の千六百年にわたり語りつがれてきたデイオスコリデスの「薬物誌」にも登場しない植物で、やっと登場するのは11世紀になってからなのです。
近代ルネサンス期のヨーロッパではヒポクラテスをもしのぐ、その名も高いアラビア人・医師イブン・シーナの『カノン(ラテン語訳ではCanonmedicinae「医学典範)*」に、はじめてタンポポがその姿をあらわすします。書の中で「タンポポは黄色の花だから肝に関連する」と記されています。
イブン・シーナ『医学典範』の写本(イェール大学医学部図書館)
*医学典範:アラビア医学の集大成であり、17 世紀頃まで、西欧の医学大学校の教科書となる。アラビア医学にギリシアのヒポクラテスやローマのガレノスなどの医学を加え、さらにインド医学も取り入れて、完成させた大著。1000年頃から約20年の歳月をかけて書かれ、彼が40歳の頃完成した。
ところでダンデライオンの名のライオンとタンポポがなぜ繋がるのでしょうか?
葉がライオンのようなギザギザした歯の形をしているからとか、根の白さがライオンの歯の白さのようだからとか、その他の俗説もあるようですが、ルネッサンス期に「ライオンが太陽のシンボルとされ、タンポポは耀く太陽を連想させることから、太陽を介してライオンとタンポポが結びつけられた」という示唆があります。多くのルネサンス期の錬金術書(The Golden Game Alchemical Engravings of the Seventeenth Century)には、ライオンは太陽とともに描かれる場面がよく登場します。太陽は天界の王者、ライオンは地上の王者との連想によるものと思われますが、黄金色のタンポポと黄色に耀く太陽との結びつきもただならぬものがあることは、タンポポの習性からよくわかるところです。タンポポが太陽の光りにすぐ反応して鮮やかに咲く黄金色から、例えば黄疸症状(皮膚まで黄色くなること)からタンポポは黄疸を緩和したり予防したりするご利益を与えてくれると古くから考えられてきました。錬金術上のライオンは太陽のシンボル、タンポポはライオンのような王者ではなくても、庶民を救う小さな王者ぶり、そういうものだったのでしょう。
食経験と機能性
タンポポは世界中の多くの伝統的な民間医療で使われてきました。歴史的には肝臓、腎臓、脾臓の病気の治療によく使用され、消化器や皮膚の病気の治療にはあまり使われていません。
主に利尿効果や肝臓や腎臓の「強壮剤」として使用されたり、軽度の消化器障害に対しても使用されたりしてきました。アラビア医学、アーユルベーダ医学のみならず、アメリカのネイティブアメリカンの伝統療法としても活用されてきました。ヨーロッパ諸国でも薬局方薬物として確立され、現在でもハンガリー、ポーランド、ソビエト連邦、スイス薬局方などに収載されているなど、ヨーロッパで最も身近で有用な薬用植物の一つとなっています。
またシルクロードを通って伝わった漢方医学の世界でも、前述のとおり「蒲公英」、「蒲公英根」として利用されてきました。「蒲公英」の薬用部位を記している最も古い書は唐の時代に著された『千金方』で「…摘取根茎白汁塗之…」とあり、根や茎の白い汁を用いていたものと考えられます。その後に著された書物には、苗、根茎、あるいは連根帯葉などの記載がみられ、明代に著された書物で、薬用部位を図示している『本草原始』や『本草彙言』には「蒲公英」として全草が描かれています。同じく唐の時代に著された「新修本草」には、「味は甘く、平、無毒。婦人の乳腺炎によし」とあり、主に婦人の急性乳腺腫に煮出したタンポポを用いた記録があります。また『南行方』には「悪刺(あくせき、毒を含んだ刺のあるもの)や、狐尿刺(虫に刺された状態をさす)に根茎の白汁を塗る」などの記述があり、癒や腫には新鮮なものを煎じて生じた汁液を外用したことがわります。
このように、中国では古くから全草が用いられ、現在でもそれは変わりません。「中華人民共和国薬典(2005年)」には、清熱解毒(熱毒による発熱や炎症を止める)、消腫散結、利尿通淋、目赤、咽痛、と炎症性の病気に使われています。
タンポポの仲間は世界各地で薬用にされている植物な訳ですが、その利用目的は大きく2つに分けられます。
1つは、ヨーロッパを中心にした利用法で消化不良などに対する健胃作用や肝臓の疾患の治療に用いるもの、もう一方は、中国で古来用いられてきた目的で急性の乳腺炎や乳汁分泌不足に用いるものです。現在日本では健胃作用を期待してタンポポの地下部のみを民間的に用います。これは、江戸時代中期以降、オランダから伝播されたヨーロッパの利用法が現在に伝わったものと考えています。あるいは明治時代の頃に食用のため、また乳牛の母乳の出を良くするために飼料とするために輸入されたとも言われています。
ダンデライオン利用法
ヨーロッパの民間療法では葉部は利尿を、根部は強肝を目的に用います。まず葉部(この場合はドライハーブではなくフレッシュハーブの形)でサラダに供されたり、汁を搾ってジュースの形で飲用されます。レストランでダンデイライオンの葉のサラダを食べてトイレに行きたくなる人がいます。
それはダンデイライオンの葉は強力な利尿作用を持っているためです。葉にはカリウムが多量に含まれていて、利尿とともに体から失われるカリウムを補給することができます。医薬品の利尿剤の中には体のカリウムを必要以上に奪ってしまう副作用を持つものもあるが、ダンデイライオンの葉は利尿作用を持つとともに、カリウムの補給まで一緒にできるわけだから、一石二鳥と言えるでしょう。
食用としては若葉と甘い花弁は生でサラダに、葉はホウレンソウのように食されてきた代表的な春の苦味野菜です。また葉にはカリウムだけでなく、鉄分やカルシウムのミネラル類、ビタミン類のほか苦味質(タラキサシン)、ルテイン、多種多様な多糖体、レシチン(コリンの供給源)などを豊富に含みます。フランスでは栽培上の特徴として柔らかな野菜として収穫するため、根元に多めに土をかぶせて葉の根元が白い状態で収穫しているそうです。これは、本来緑色のアスパラガスを土の中で白色のアスパラガスにするのと同じ方法だと思われます。
市場のピサンリ(ダンデライオンの葉)
花弁は強壮作用があるといわれるタンポポワインが各家庭で作られていたり、黄色い染料にも使われていました。また花弁にはカロテノイドの一種であるルテインが含まれ、紫外線や人工の青白い光から目を守る効果が期待できます。薬効が集中している根の部分は、掘り出した後に軽く焙煎してハーブティーの形で用いられることが多く、ヨーロッパでは尿路結石や母乳の分泌促進によいとされています。ノンカフェインのヘルシーコーヒーとして日本でも定番ハーブティーの一つになっていますね。日本では戦後にコーヒー豆が不足した際に、チコリや大豆などと一緒にダンディライオンの根も代用コーヒーとして用いられた歴史もある。苦みが苦手な方は、はちみつや黒砂糖を入れて飲むのもおすすめです。
また民間療法ではいわゆる浄血剤として関節リウマチ、痛風、湿疹などの治療にも用いられてきた。これは漢方の利用法に通じる。春は陰陽五行説では、「木」の性質であり、 木の枝や根が伸びやかに成長するという季節で、 身体に関して言えば、「肝」の季節とされている。 気温の上昇とともに身体に備わった自然な流れで、体内の老廃物を排泄しようと働きはじめる。その時いつもよりも負担がかかりやすいのは解毒システムを担当している肝臓だ。そんなときは春季解毒療法として春の生の若葉をサラダで食べたり、根をハーブティーにしたりと利用価値は高い。茎の生の汁をイボに塗るという民間療法もある。乳汁分泌促進にもよいとされる。ルテインとカロチノイドの豊富な若葉のサラダは独特の苦味があっておいしいので、大振りの柔らかい葉が手に入ったら試してみてほしい。春の若葉は、ゆでると苦味が増すので水にさらしてアクを抜き、サラダ、スパゲッティ、佃煮、漬物、油炒めなどにするとおいしく食べられる。また熱したオリーブオイルにビネガーと少量の塩を加えたものを熱いうちに回しかけて食べるのもおすすめ。砕いたナッツとカリカリにしたベーコンを加えシーザーサラダにしてもさらにおいしくなる。
ダンデライオンのサラダ
ダンデライオンの機能性
西洋の植物療法でも漢方でもダンディライオンの全草を利用する。根を掘り下げて洗い、乾燥させた後全草を刻んで用います。しかし実際に乾燥ハーブや漢方生薬として流通しているのは根が主体です。主な有効成分は下記のものと考えられています。
根:苦味質*(タラキサシン)、カリウム、イヌリン*
葉:ルテイン、カロチノイド、苦味質(タラキサシン)、カリウム
*苦味質は複数の成分からなるが、セスキテルペンラクトン類が主要な作用物質ではないかと考えられている。セスキテルペン類は植物療法で外傷治療薬として外用されるアルニカ(キク科の多年草。ヨーロッパのカルシウムが少ないピート土壌に生息する植物でこの植物に関するもっとも古い記録は、預言者でもあった聖人ヒルデガルト・ビンゲンの12世紀に記された書にまで遡る)の苦味質の主要成分でもあり、抗歯、抗炎症作用がある。漢方では清熱解毒薬のひとつで、感染症やアレルギーによる炎症の治療薬として汎用されている。抗菌、抗炎症効果は複数成分の相乗作用かもしれないが、主たるものはやはりセスキテルペン類によるものではないかと推察される。
タラキサシン(セスキテルペンラクトン)
*イヌリンは、キク科植物やキキョウ科植物が貯蔵物質として、一般の植物が含有しているデンプンの代わりに含有している成分で、食物繊維としても注目されている植物成分のひとつである。デンプンはグルコースが重合した構造であるのに対して、イヌリンは果糖が重合した構造の多糖類(オリゴ糖)で、ダンデイライオン、チコリ、ダリアなどキク科の植物に豊富である。分解されてもグルコースとして吸収されることはなく、血糖にはほとんど影響しない。また、栄養素の吸収を妨げるので血糖値の上昇遅延に役立つと考えられる。タンポポに含有されるこのイヌリンの含量について、春と秋では変化し、秋に多いという報告がある。
かつてのドイツ保健省のハーブ専門委員会(通称Commission E)のモノグラフでは、ダンデイライオンには胆汁分泌促進作用、利尿作用、食欲増進作用が認められている。胆汁分泌促進と食欲増進作用は苦味質による効果とされている。また「PDR for Herbal Medicines 4th Edition」では、Comission Eで認められた用途として、消化不良に伴う症状、尿路の感染、肝臓および胆のうに関係した疾患、食欲不振の4つをあげている。
また、その他の用途として、胆汁の不通、尿路の炎症、肝臓や胆のうの疾患、痔、門脈系のうっ血、痛風、リウマチ、湿疹およびその他の皮膚疾患などを挙げている。さらに利尿作用があることから、腎臓や膀脱の疾患、また腎結石にも用いると記している。
「PDR for Herbal Medicines 4th Edition」
本書では薬用部位として、①乾燥した葉(開花期の前に収穫)、②乾燥した根(秋に収穫)、③地下部を含む全草乾燥品(開花期の前に収穫)、および④新鮮な全草と記されている。また「Herbal Medicine,Expanded commission e monographs」にはDandelion HerbとDandelion Root with Herbの2項目が収載されており、前者は、Taraxacum officinaleの新鮮、または乾燥した地上部からなり、後者は、同じくTaraxacum officinaleの全草からなり、開花期に集めると記されている。一方、「Herbal Drugs A handbook tor practice Phytopharmaceu ticals, on scientific basis」には、Taraxaci radix cum herba(ラテン語)が収載されており、そこには、「dandelionの全草からなる、開花前に収穫する」と記されている。
また「The European Medicines Agency」でもTaraxaci radix cum herbaとして、収載されている。
一般的には薬用植物の収穫は、
1、全草を用いるのは、植物が最も元気な開花時に収穫する。
2、花や果実を用いるものは、当然花や果実の時期に収穫する。
3、地下部を用いるものは、地上部が枯れた秋から冬にかけて収穫する。
とされている。ことタンポポについては「開花前に収穫する」と書かれている書物が多いが、これは開花するときに必要なエネルギーを十分に蓄積した時期(開花直前)に最も活性があると考えたからであろう。
ダンデライオンの安全性
ダンデライオンの使用は一般的に安全であると考えられているが、中には稀だが、胃のむかつきや下痢の報告があり、人によってはアレルギー(キク科アレルギー)を起こす可能性があります。また根部は米国のAHPA(ハーブ製品協会)の安全性ハンドブックでは特定の使用制限(胆汁管障害・重篤な胆のう炎と腸障害には禁忌)が設定されているので注意が必要である。野草として薬草として、世界各地の伝統療法で食経験の豊富なダンデライオンをぜひ食生活に生かしてほしいものです。
(文責 株式会社ホリスティックハーブ研究所)
参考文献
「ハーブ大全」 R.メイビー著 小学館
「基本ハーブの事典」北村佐久子著 東京堂出版
「カラー図鑑 ハーブの秘密」ジル・デイヴィーズ 著 板倉弘重 監訳
「漢方薬理学」 南山堂 高木敬次郎ら 監修
「ハーブ&スパイス大事典」National Geographic Partners, LLC
「薬用ハーブの機能研究」CMPジャパン
「健康・機能性食品の基原植物事典」佐竹元吉ほか著
「メディカルハーブの辞典」 林真一郎編集
「原色百科世界の薬用植物」Dr.マルカム・スチュアート著中医臨床のための「中医臨床のための中薬学」医師薬出版 神戸中医学研究会編集
「補完・代替医療ハーブ療法」金芳堂2006. 橋口玲子著
「PDR for Herbal Medicines. Third Edition」
「Herbal Medicine. Expanded Commission E Monographs,
American Botanical Council. 2000.」
「Herbal Drugs and Phytopharmaceuticals,
A handbook for practice on scientific basis, 1994. 」
「Botanical Medicine for Women’s Health,1&2 edition 」Aviva Romm CPM RH(AHG) 著
「The Green Pharmacy」 James A Duke著
「The complete New Herbal Richard Mabey著
「Botanical Safety Handbook」アメリカハーブ製品協会(AHPA)編集
Proceedings of the National Academy of Sciences
NIH National Library of Medicine’s MedlinePlus
健康食品データベース第一出版Pharmacist’s Letter/Prescriber’s Letterエディターズ編 (独)国立健康・栄養研究所 監訳
【参考文献】
・Dandelion. Natural Medicines Comprehensive Database Web site. Accessed at www.naturaldatabase.com on June 9, 2009.
・Dandelion (Taraxacum officinale). Natural Standard Database Web site. Accessed at www.naturalstandard.com on June 9, 2009.
・Dandelion root with herb. In: Blumenthal M, Goldberg A, Brinckman J, eds. Herbal Medicine: Expanded Commission E Monographs. Newton, MA: Lippincott Williams & Wilkins; 2000:81–83.
・https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17324258
・https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19678785
・https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/7336706
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